自衛隊転職支援まとめ

元自衛官のアドバイザーが自衛隊員の転職をサポート

どうして自衛隊はパワハラが起きやすいのか

先日、航空自衛隊でパワハラ事件が発覚し、防衛大臣がコメントする事態が発生しました。

パワハラに関しては民間企業でも多い問題ですが、自衛隊でのパワハラ問題は明るみにでにくく、エスカレートする危険性が含まれています。
この深刻な問題に対して、理解を持ってもらうために記事を書きます。

職場での人間関係に悩んでいる人に読んでもらえればと思います。。

パワハラ(パワーハラスメント)とは組織などでの地位や人間関係などの優位性を利用して、他者に嫌がらせをしたり、苦痛を与えたりすることです。 暴力、言葉での侮辱、適正な業務範囲を超えた仕事の強制、逆に仕事を与えないなどの行為もあてはまります。
パワハラは、パワハラをする側がその優位性にかこつけて、される側が苦痛に感じるような行動ですので、される側が苦痛に感じればそれはパワハラになります。
ですので明確な行為があるわけではないというのが、この問題を考える点で重要なポイントになります。
職場で自分の地位の低さが原因で辛い思いをしたことは多くの方がいると思いますので、逆に言えばパワハラは多くの方が日常的に受けたり与えたりしているということになると思います。
問題なのは、誰が聞いても明らかにやりすぎなパワハラ、精神的、肉体的な苦痛を過度に感じる行為です。

これが自衛隊は表に出にくいだけで水面下で多く起きています。

自衛隊の内部環境

自衛隊で生活していて「地位や人間関係の優位性」を感じないなんてことありませんよね。
階級、先輩後輩はもちろん、体力検定の級や昇級スピード、人望や実績など、多くの力関係の中で隊員は生活しています。
自衛隊という組織の特性上、そういった力関係は必要です。
隊員同士が関心を持ち合い、強い信頼関係を持つことで、集団での任務を成功させることが重要だからです。
そういった前提の元働いているので、階級や先輩後輩での力関係での不満やストレスというのはあまり感じないと思います。
問題となる過度なパワハラ。これは自衛隊の職務のために必要な力関係とは全く関係ない加害者の人格的な暴走に起因するものであり、
自衛隊は加害者が人格的に暴走しやすい環境がそろっている
これが問題の本質だと思います。

1.生活の場と職場が同一
自衛官の曹士のほとんどは営内で生活しており、柵内で終日過ごすため職場での人間関係から解放されたプライベートな時間をもつことが難しいです。
一般的なサラリーマンなら勤務後にカラオケに行ってストレスを発散したり、自分の家で趣味に没頭したりとリフレッシュを図ることができますが、
自衛隊の場合は勤務中の人間関係が勤務後にも強くかかり続けるため、
パワハラされる側はリフレッシュできずにストレスに敏感になり、パワハラをする側は組織での地位の優位性を一般より長時間誇示できるようになり、
パワハラが発生しやすい環境となっています。

2.職場の人的流動が少ない
幹部は多いですが、基本的に自衛隊で部隊の転属の頻度は少なく、人にもよりますが7年ほどは同じ部隊で勤務し続けるイメージです。
転属しても技術交流の意味合いが強く、数年別の部隊で勤務した後はまた自分のホーム基地に戻ってくるなど、自衛官はそのキャリアのほとんどを同じ基地で過ごすことが一般的です。
人的流動が少ないため、基地や部隊に独特の雰囲気が醸成され、その部隊たたきあげの曹が部隊の雰囲気を作っていることが多いです。
部隊の雰囲気というのが固まりすぎると、同じ隊内でも雰囲気に合致した隊員とそれ以外の隊員でギャップが生まれる原因にもなります。
そうなると仲間非仲間意識によるパワハラが発生する環境となっていきます。
そういったことがあるため、転属が多い幹部は隊の雰囲気を正確に把握する専任の曹と連携し、適切な部隊運用を図ります。
しかしそういった活動がうまく回らずパワハラの発生に気づけないことも多いと思います。

3.コンプライアンスのガラパゴス化
これは自衛隊という組織が唯一無二の組織であり、民間のように競合他社が存在しないので、組織の考え方の新陳代謝が非常に悪いことが挙げられます。
コンプライアンスに関しても、世間で強く言われているから自衛隊内での教育で取り上げられるようになりましたが、
ほとんどの隊員は自衛隊以外の組織と職務での関係を持つことがないため、民間組織とのコンプライアンス意識の差が埋まりません。
教育項目に追加されても、意識づけにはなるでしょうが、脈々と続いてきたコンプライアンスの考え方が大きく整えられることは難しいと考えます。
民間企業ではコンプライアンスの遅れはそのまま会社の評価に直結するため、コンプライアンス教育は必要に迫られた実務的な教育になりますが
自衛隊ですと教育資料を用いた形式的な教育になりがちです。

自衛隊の相談体制

自衛隊の相談体制はパワハラホットラインの電話、メールとなっております。
相談体制に関しては民間とそれほど変わりないため、相談体制の不足が自衛隊のパワハラ増に関係しているとは考えにくいと思います。
しかし、ホットライン自体の信頼性として、どこまで助けてくれるのか不透明であり、民間のように第三者機関ではなく防衛省ホットラインなので
頼りになるかどうかに疑問を持つ隊員もいるのではないでしょうか。
実際に防衛省ホットラインで助かった経験を持つ人がいれば、お話を聞かせていただきたいです。
あとは部隊の上官に相談となりますが、人によって取り合ってくれるかどうかに幅があること、パワハラ相談の専門家ではないことの二点で
不安が残るところです。

自衛隊のパワハラ問題を解決するには

過去、メディアで取り上げられた自衛隊でのパワハラを見ていくと、暴言、暴行が多いですが、かなり度が過ぎています。
ここまで過激になる原因として、自衛隊の閉鎖的な環境があると述べました。
この自衛隊のパワハラ問題を解決するには、かなりの時間を要すると考えます。
なので個人で行える現実的な方法を提案すると、「違和感を感じたら民間の知人に話してみる」ことを勧めます。
親や友人で構いません。ストレスをため込む前に一般の人に話して自分が我慢しすぎていないかを確認することを勧めます。
自衛隊あるあるなのですが、日常的に強い言葉やボディランゲージを使用するので、暴言、暴行なのかどうかはっきりせず、無意識に我慢しすぎてストレスをためていることがあります。
ホットラインに相談するにしても上官に相談するにしても、自分が我慢を強いられていることに気づかなければ始まりません。
まずは現状を知覚する。そのためにストレスを感じたような違和感を感じたら、自衛官ではない民間の人はどう思うのか、話して意見を聞いてみましょう。

どこまでパワハラを許容するべきか

私はパワハラ防止の教育をする側でしたが、自衛隊を辞めた今正直に話すと、ある程度のパワハラはあるほうが自然だと考えています。
メディアに取り上げられるような引くほどのパワハラはもちろんあってはなりませんが、やる側は「かわいがり」やられる側は「パワハラ」と感じる微妙な状況は往々にあると思います。
いろいろな人とのかかわりの中で人は成長できるので、辛いこと、楽しいことどちらも経験できることが理想です。
ではどこまでがやっていいパワハラで、どこまでがやっていけないパワハラはということですが、
同じ程度のギブができるパワハラなら許容ということを自衛隊で様々な上下関係を経験した私からのアドバイスとして残しておきます。
一人残して仕事させたなら、同じ程度のギブ、例えば次の日は仕事量を減らしたり、疲れが取れる栄養ドリンクを渡したり、
ストレスを与えた分同じ程度のいい思いをさせてあげる。ここまでセットで「かわいがり」だと思います。
なので同じ程度のギブができないパワハラ、例えば「受け取るべき書類を正当な理由なく受け取りを拒否する」「消えない傷をつける」「拒絶反応をしているのに無理にやらせる」など
リカバリーの効かないストレスを与えることは許容できないパワハラだと考えます。
まずはこの基準で人間関係を作ることを意識してみてはいかがでしょうか。

まとめ

・パワハラとは地位や人間関係の優位性を利用して苦痛を感じさせる行為
・自衛隊の閉鎖的な環境は優位を持つ人間を人格的に暴走させやすい傾向がある
・自衛隊のパワハラ相談体制は並。むしろ民間より強い体制があってもいいのでは。
・パワハラかもと思ったら民間の知人に話してみて、自分が我慢しすぎてないかチェック
・リカバリーの効かないストレスを与えたらそれは「許容できないパワハラ」である

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