コラム

「自衛隊新卒」という防衛省の魔法ワード

みなさん、いきなりですが自衛隊新卒という言葉をご存知でしょうか?

「自衛隊」と「新卒」という二つの単後は知ってるけど、組み合わせるとよくわからない。。。
そんな言葉ですよね。

今回は、自衛隊の人材確保にまつわる課題について「自衛隊新卒」というキーワードからお伝えします。

自衛隊新卒とは

「新卒」というと、大学や専門学校、高等学校を卒業・卒業予定の人を意味します。
「新卒採用」はまさにそんな人たちを対象とした採用です。
そこから連想するに、自衛隊新卒というと自衛隊が管轄する学校である防衛大学校や高等工科学校の卒業・卒業予定者のことかと思われるかもしれませんが、、、
実はそうではないんですね。

では、自衛隊新卒とは何なのか?というと、
任期制自衛官を修了して民間企業に就職する者を指します。

ここで、任期制自衛官って何よ?となりますよね。
任期制自衛官とは、「自衛官候補生」として3か月の教育を受けた後に、決まった期間の勤務をする自衛官のことです。

階級でいうと、2士から士長にあたり、陸海空自衛隊の現場で実働を担う人材です。
民間で言うところの有期雇用契約の契約社員みたいな位置づけだと思ってもらえたらOKです。

この任期制自衛官は試験に合格すると上の階級である非任期の曹に上がることもできますが、任期満了で他の道に進むこともできます。
そこで民間企業に就職することを選んだ人を「自衛隊新卒」と呼ぶんですね。

自衛隊新卒の目的

では、どうして自衛隊新卒なる言葉が作られたのでしょうか?
実はこの言葉は2020年に防衛省がPRしはじめた出来立てほやほやの言葉です。
自衛隊新卒という響きで、自衛官としての任期を終えて民間企業に就職することが中途退職ではなく、ポジティブな新卒という印象を持たせるために作られました。

防衛省の狙いは、任期制隊員の再就職を支援することにあり、さらには自衛隊を経てからの就職を有利だとアピールし、若い自衛隊志願者を増やそうという魂胆があります。

自衛隊の志願者数は年々減っていて必要な定員には達していない一方、日本国周辺の安全保障環境は厳しさを増しています。
そんな環境で強い自衛隊を維持するには組織のピラミッドを下から支える若くて動ける人材が必要なんです。
その人材を集めるためにできた言葉、それが自衛隊新卒だったんですね。

民間企業の方・自衛官の方への想い

ここまでで自衛隊新卒の定義と作られた経緯を説明してきました。
ここからは個人的な見解を(民間企業の方へ・そして自衛官へ)2つの観点で述べさせていただきます。

まず、民間企業の方特に人事の方には、自衛隊から人を採用してみるのもありかも?と視野を広げてもらえると非常に嬉しいです。
もちろん人によりけりという前提ですが、自衛隊で数年間鍛えられた人材は、規律・責任感がありチームワーク力・実行力があると謳われています。
繰り返しますが人によります。。。
高校を卒業して自衛隊で数年鍛えた若い人材のポテンシャルを買っていただけると嬉しいなぁと思います。

次に、任期制自衛官の方々へ、一般大学卒のいわゆる新卒と比べられても負けないような人材になってほしい!ということを思っています。
評価軸は民間企業から見て採用したいかどうかというところです。
残念ながら民間企業の採用担当者に自衛隊での経験を評価してくれる人は多くはありません。というか自衛官がどんなことをしているのか知らないことが多いです。

ですので、採用試験の面接等で自身をアピールする必要があります。
そして、入社してからも会社で活躍することが重要です。

これまで学校を卒業して自衛隊という組織しか知らないし、どうやって面接準備すればいいのかわからない。
そもそも曹に昇任すべきか、民間企業に就職すべきかも決めかねている。という人は、ぜひ周りの民間人に相談してみてください。

私みたいに元自衛隊員で民間に出ているキャリアコーチを頼っていただくのもウェルカムです。

防衛省も新しい言葉を作ってまで、民間企業での活躍を後押しをしてくれているので、主体的にチャレンジしていただけるといいのではないかと思います!

以上2点、僭越ながら私の個人的意見を述べさせていただきました。

今後も自衛官のキャリアに役立つ情報を発信していきますので、よろしくお願いします!

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